(第35回)日本製品が築いたブランドは崩壊寸前

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日本車のブランド力が落ちている

シリコンバレーでベンチャービジネスに成功すれば、一夜で金持ちになる。そうした場合には、「それまでよりワンランク上のBMWを買う」というのが常識だったのだが、その頃には、トヨタのレクサスになった。その暫く前に出版されたトーマス・フリードマンの『レクサスとオリーブの木』は、レクサスを「グローバリゼーション」の代名詞として用いている。

レクサスでは成金趣味というなら、プリウスだ。05年のアカデミー賞授賞式では、リムジンの後座席でなくプリウスの運転席に乗って会場に現れるのが、「地球温暖化に深い関心を持つ知的な俳優」であることの証拠と見なされた。私は、ナタリー・ポートマンやグウィネス・パルトロウが自分でプリウスを運転して乗り付ける姿をテレビで見て、強い印象を受けた。この映像は彼女らのイメージ向上にも役立ったと思う。これこそブランド力である。

しかし、この状況は変わりつつある。図はアメリカでの新車販売のランキングである。それまでフォードを抜いて2位であったトヨタの凋落ぶりが著しい。市場シェアは、10年の15・2%から11年の12・9%に低下した。11年における日本車の減少には東日本大震災の影響も大きいし、為替レートの影響もある。しかし、トヨタの減少は震災前から生じている。また、日産と三菱はわずかであるがシェアをあげている。


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