外国人女性と交際も「逃げた日本人500名」の行方 フィリピン人母子は「パパに会いたい」と探している
「その女性はちゃんと認知してもらいたいと言っていました。子どもが未成年だったので、日本人男性が認知すれば、子どもは日本国籍を取得することができます。
女性はしっかりした方で、そのあたりの制度も理解していて、さらにちゃんと子どもを学校に通わせるために養育費を払ってほしいと望んでいました」
子どもの国籍については、国籍法3条に規定があり、法務省の公式サイトの説明によると、子どもが18歳未満(編集部注:現在の未成年の規定。以前は20歳未満だった)であることや、認知した父または母が子どもの出生時に日本国民だったことなどの条件がある。
法的なサポートを受け、子どもに教育を受けさせたい、父親の国である日本の国籍をとらせてあげたいというのは、母親として当然の願いだろう。しかし、子どもが成人すると日本国籍を取得することが困難になるため、フィリピンの女性たちは法的なサポートを必要としていたのだ。
「興行ビザ」で来日していたフィリピン人女性たち
その後、ダバオ市の女性はどうなったのだろうか。杉山弁護士が本格的にサポートすることで、無事に父親である日本人男性の居場所がわかり、問題は無事に解決できたという。
杉山弁護士は当初、この問題にそこまで興味を持っていなかったと話す。
「私たちの仕事は依頼者がいて、依頼者に直接会ってどのような問題があるのか、色々と話を聞くところから始まります。ですから、フィリピンにいる女性たちがどのような人たちかわからなかったし、そこまで問題を実感することはできませんでした」
そうした女性たちの多くが、2000年代始めに「興行ビザ」で来日し、フィリピンパブなどの飲食店で働いていたケースだった。2005年以後はビザが厳しくなり、現在そうしたケースは減っているが、「日本人男性からお金を騙しとっていた」という悪いイメージはつきまとうという。
「私自身、偏見がなかったとは言えません。でも、実際に現地に行って、女性たちに会って話を聞いてみて、それは違うということがわかってきました。
ビザを取るためにシンガーやダンサーの資格が必要なのですが、彼女たちは借金をつくって資格を取りやっとの思いで日本にくる。日本に来たら今度は、店側にパスポートを取り上げられたり、小さな部屋で数人で生活させられたりする。
日本人なら月に30、40万円稼げる仕事だけど、彼女たちがもらっていたのは、数万円だったりします。その中から、フィリピンの家族に仕送りして、自由になるお金はほとんどありません。お店と住む部屋を往復するだけの毎日です。そうした中、お客さんの日本人男性に食事やデートに誘われればいっても不思議ではないでしょう」
