「日本はタイやベトナムより豊かだ」という幻想 スシローも大戸屋も日本で食べるより高い

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すべての産業分野で人手不足が深刻化している。その数は政府推計で34万人。どう補うのか。
『週刊東洋経済』12月2日号の第1特集は「外国人材が来ない!」。経済大国日本には発展途上国の若い労働者がいくらでもやってくる――そんな時代は終わりつつある。
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「東南アジアには産業がなく、生活水準は低い」「日本に出稼ぎに行きたい人はまだたくさんいる」

これらは本特集で東洋経済取材班が地方の中小企業経営者から聞き取った言葉だ。

現実はどうか。日本にとってあらゆる側面で重要なパートナーであり、今年で友好協力50周年を迎えるASEAN(東南アジア諸国連合)に目を向けてみたい。

10カ国で構成されるASEANの人口は約6.7億人で、豊富な労働力や天然資源を有している国が多いことから1980年代後半以降、自動車産業を中心に多くの日系企業が進出してきた。

ASEAN人口の約88%を占める主要6カ国(タイ、フィリピン、マレーシア、インドネシア、シンガポール、ベトナム)の労働人口は2030年に約3.3億人まで増大する見込みで、今後も製造拠点としてのポテンシャルは高い。

堅調な経済成長を続けるASEANのGDP(国内総生産)は、2030年には日本を追い抜く見込みだ。所得の向上とともに分厚い中間層が形成されることで、旺盛な購買意欲を有する巨大消費市場になっている。

日本を超える旅行消費額

その勢いはマクロ経済のさまざまな指標から読み解くことができるが、ここでは消費市場としての発展について見てみよう。

家電製品を買いそろえたり、自動車を購入して休暇には外食やレジャー活動を楽しんだり、健康や教育への投資を増やしたりすることができるようになるといわれる上位中間層(年間世帯可処分所得が1万5000〜3万5000ドル)の人口は、主要6カ国において2005年の7210万人から2019年には1億8610万人へと2.58倍に増加した。

同期間に富裕層は1780万人から4710万人へと2.65倍に増えている。

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