「日本はタイやベトナムより豊かだ」という幻想 スシローも大戸屋も日本で食べるより高い
こうした消費市場の拡大は、東南アジアにおける主要な小売りチェーンストアの事業展開からも見ることができる。
セブン‐イレブンは、世界18の国と地域で7万8541店舗を展開しているが、国別店舗数で最多の日本(2万1327店舗)に続くのが、タイの1万3134店舗である。タイの人口が約6940万人であることを考えると、これだけの店舗を吸収するだけの購買力が首都圏のみならず、地方都市にまで広がっていることがうかがえる。
事実、タイ国家統計局のデータを基に世帯所得を見てみると、2014年から2021年にかけ、バンコク首都圏で約1.4倍、最も貧しいといわれている東北部では約2.1倍に増加している。
タイでは日本でもなじみ深い日本食レストランチェーンが複数展開しているので、日本と同じメニューで値段を比較してみよう。
ビッグマックは中国、タイ、ベトナムより安い
タイ国内に193店舗展開しているやよい軒の「味噌かつ煮定食」は916円、同48店舗の大戸屋の「鶏と野菜の黒酢あん定食」は1298円、同51店舗のCoCo壱番屋の「フライドチキンカレー」は855円、同18店舗のスシローの「天然インド鮪6貫盛り」は1465円となっており、いずれも日本と同等価格もしくは割高となっている。
このほかにも東南アジア諸国では日本のチェーン店と同じような価格帯で現地コーヒーチェーンやさまざまなフードチェーンが事業展開しているが、各国の絶対的購買力平価を示すわかりやすい指標としてイギリスの『エコノミスト』誌によるビッグマック指数(BMI)がある。
米ドル換算で、スイスのビッグマックは6.71ドル、アメリカは5.15ドル、中国は3.56ドル、タイと韓国は3.5ドル、ベトナムは2.95ドルとなっており、次にようやく登場する日本は2.83ドルとなっている(いずれも2022年)。日本のビッグマック価格は中国、タイ、ベトナムを下回っているのだ。
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