グローバルサウスの国々が台頭する一方、日本の存在感は低下の一途をたどる。日本が学ぶべき点は。
東西冷戦の終結後に拡大した自由貿易は、米国を中心とする先進国だけでなく、中国やASEAN(東南アジア諸国連合)など新興国にも恩恵をもたらした。そこでは、ルールに基づく国際秩序の構築によって国家間の関係性が深まることが期待されていた。
だがその期待は昨今、急速にしぼんでいる。米国を軸とした西側陣営と、ロシアや中国など東側陣営の対立が深刻化しているためだ。
米国はバイデン大統領が2021年から民主主義サミットを開催するなど、中国包囲に向けた西側陣営の結束に注力してきた。
グローバルサウスが大きな存在に
そんな中で注目を集めるのがグローバルサウスだ。北半球に多い先進国との対比で、インドやブラジル、タイ、南アフリカなど、南半球に多い新興国を指す。両陣営に対して一定の距離を保とうとする国々を総称する意味でも用いられる。彼らに注目が集まるのは、両陣営が無視できないほど大きな存在になっているからである。
グローバルサウスの定義には、国連の「77カ国グループ(G77)」(中国を除いた133カ国)が用いられることが多い。この定義に従えば、世界人口に占める割合は20年時点で58.9%を占める。名目GDP(国内総生産)は50年までに米国や中国を上回るとされる。
ひときわ存在感を放つのが、23年に「グローバルサウスの声サミット」を開催したインドだ。インドについては本特集の別の記事を読んでもらいたいが、ここではグローバルサウスの論理を端的に理解するため、モディ首相の次の発言を紹介したい。
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