「3つの経済」が併存するインド。起業家は社会課題の解決に商機を見いだす。

スズキとスタートアップの絆を担うジンダル氏(写真:編集部撮影)
世界一の人口を抱え、GDPで世界3位になることが確実視されるインド。日本企業はこの国とどう向き合えばよいのか。本特集では、インドの実情とビジネスのヒントを徹底リポートする。
インドでまだ車を利用できていない10億人のため、スズキに何ができるか考えろ──。
インド人としてスズキ本社に初めて新卒採用されたビプール・ナット・ジンダル氏へ、同社の鈴木俊宏社長から特命が下された。これを受けてジンダル氏は2022年に母校インド工科大学(IIT)ハイデラバード校に、スズキ・イノベーション・センター(SIC)を開設。スズキの社員とIITの学生との交流などを通じ、インド社会の課題を解決するためのイノベーションを模索し始めた。
インドには3つの経済がある
ジンダル氏は「インドには3つの経済がある」と言う。①都市部のフォーマル経済、②都市で活動するが納税はしていない零細な自営業者や非正規労働者からなるインフォーマル経済、③農村部の経済の3つだ。このうち、スズキがアクセスできていないのが②と③だ。
そこに住む10億人の課題を解決できるのはインド各地で無数に生まれつつあるスタートアップであり、その経営者たちに支援を提供することで、スズキとインドの関係は新たなステージに進める──。ジンダル氏はそう見定めた。
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