枡野:エベレストに登頂した、南極へ行ったなど、人がやっていないことを成し遂げた方の話は、興味を持って聞こうと思うのと同じように、何かを乗り越えてきた人の言葉には、自然に重みと幅が生まれてくるのではないでしょうか。
休む準備「ジャーナリング瞑想」
武田:「休む」ということができなくて、困っておられる方が多いですよね。休もうとしても、頭が忙しくてうまく休めない。私は、それを鎮めるために「ジャーナリング瞑想」という手法をおすすめしています。
頭の中にあるものを、何らかの形でとにかく外に出す。書いてもいいし、言葉にしてもいいというものです。
箇条書きにしたりまとめたりするのではなく、頭の中に浮かぶ言葉をそのまま書いていきます。
例えば「月曜の資料どうしよう、そういえば、部長が何かイライラしてたな、なんだったんだろう。そういえば買い物に行かなきゃいけない」と思ったら、ノートにそのまま書きます。
そうすると、考え事の水位が下がって、少し落ち着くのです。
私がよくやるのは、海辺を歩きながらiPhoneで音声入力をするという方法です。これはこうだった、あれはどうだったと歩きながらひたすら喋っていきます。
30分ぐらい喋ると、考えが自然と整理されてきて、ずいぶん落ち着きます。休むための前準備として、良い方法ではないかなと思っています。
枡野:坐禅はすごくいいですよ。坐禅している間は、頭の中の思考が止まります。それがものすごく心地よいようで、老若男女問わず、本当にたくさんの方が来られています。
五感が研ぎ澄まされた状態になりますから、鳥のさえずり、風で小枝が揺れる音などが、ものすごくよく耳にも体にも入ってきます。
武田:「落ち着いている本来の自分」に立ち返るのですね。そういう時間を定期的に持つと、すごく良いですよね。
枡野:心が清らかな状態になりますし、今の自分の生き方、仕事に対する向き合い方はこれでいいのか、その後に自問自答する時間ができて、とても良いほうに思考がまわります。毎日忙しくて、仕事に追われていると、自問自答する時間すら持てないでしょうから。