アメリカのエネルギー自立という悲劇 "最強の産油国"の独善が、日本の生命線「ホルムズ海峡」を窒息させる

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(写真:ロイター/アフロ)
かつて「国家の血液」を中東に依存していたアメリカが、シェール革命により世界最強の産油国へと変貌を遂げました。しかし、自立を果たした超大国の「独善」は、皮肉にも日本の生命線であるホルムズ海峡をかつてない危機へと陥れようとしています。本稿では『2時間de資源史』より一部抜粋・再構成のうえ、現在起きているエネルギー秩序崩壊の構図を浮き彫りにします。

アメリカの「シェール革命」という歴史的転換

20世紀後半、2つの世界大戦を経て石油が「国家の血液」であることが誰の目にも明らかになると、世界の覇権をめぐるゲームの舞台は中東へと移りました。

長らくアメリカを中心とする国際石油資本(セブン・シスターズ)が石油市場を支配していましたが、1970年代のオイルショックを経て、石油におけるパワーバランスは完全に中東の産油国(OPEC)へと移りました。

この混乱の中、アメリカは自国の通貨「ドル」の地位を守るため、歴史的な一手を打ちます。サウジアラビア王家に対し軍事的な保護を約束する見返りに、OPECにおける石油取引の決済通貨をすべて米ドルで行うことを確約させたのです。これが「ペトロダラー体制」の始まりです。

世界中の国々は石油を買うためにドルを買わなければならなくなり、ドルは世界の基軸通貨としての地位を不動のものとしました。しかし同時に、それはアメリカの経済と軍事が、中東の不安定な情勢に「人質」に取られることを意味していました。

2000年代に入ると、エネルギー市場の最大の関心事は「ピークオイル(地球の石油生産はやがてピークを迎え、枯渇する)」でした。世界最大の石油消費国でありながら国内生産量が減少し続けていたアメリカにとって、これは国家安全保障上の悪夢でした。

しかし、この悪夢を一夜にして終わらせたのが、「シェール革命」と呼ばれる技術革新です。

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