武田:つまり、アドバイスではなく、情報提供の姿勢で伝えるのです。それを取り入れるかどうかは、あなたにお任せしますというスタンスなら、受け手もそんなに動揺しません。
職場の雰囲気作りとコミュニケーション
武田:私の会社員時代の上司は、「何が嬉しいのか」を言葉で伝えてくれる方でした。例えば、何か相談に行くと、「問題になりそうな時、武田は自分から相談してくれるから助かるよ」と言ってくれました。こういう相談は歓迎されているんだなとわかりましたし、また相談しようと思えました。
また、ふらっと近くに来て「最近どうだ?」と声をかけ、あとは黙って話を聞いてくれる上司でもありました。定期的に話せる時間があるだけでも、部下は心が落ち着きますね。
枡野:やはり、日頃からの雰囲気作りや、コミュニケーションが大事ですよね。「言葉かけの作業」では、どんどん悪いほうへいってしまうと思います。
武田:「昔はもっと大変だった。それでも俺は根性で乗り切ったぞ」と言われたら、相談した側は心のシャッターを下ろしてしまいますよね。それができないから相談しているのに(苦笑)。
枡野:苦労を積み上げてきた人や、いろんな困難に遭遇してそれを乗り越えてきた人は、その大変さが体に染み込んでいますから、相手の困難や苦しみを見たときも、自分事のように話を聞くことができます。