日本の文脈 内田樹、中沢新一著

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日本の文脈 内田樹、中沢新一著

同じ1950年生まれの「野生の思想家」同士の過去2年半における対談を中心に収録。農業、教育、宗教、思想、戦争、東日本大震災などについて、博覧強記さを隠さず論ずるが、3・11を分水嶺にするがごとく、論調が変化する。むしろ3・11によって、両者の持論が補強されているかのようだ。

それは、原発事故を伴った大震災によって、「辺境日本的な価値観や生き方」が、よりリアリティを持って立ち現れたからなのだろう。たとえば「贈与」の原理に基づく人間関係を生み出したい、あるいは地域の活力を高めて幸福感のある経済のあり方にするという考え方は、持論とみられる「重農主義」や「廃県置藩」を促進させる。

今「自分の知らないルールでゲームは進行している。とりあえず必死になってプレイしながら、ゲームのルールを発見してゆくしかない」と教える。知的刺激に満ちた「日本人論」であることは間違いない。

角川書店 1680円

  

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