パナソニック、次世代テレビは“不戦敗” 

重すぎた「プラズマ集中」のツケ《上》

 

だが液晶は、減価償却済みの中古製造装置を台湾メーカーなどが安く買い取り、コスト力を身に付けて価格競争を仕掛けた。小型化が苦手なプラズマと違い、パソコンや携帯電話向けの中小型パネルに転用できる応用力も後押しし、世界は液晶への投資合戦にのめり込んだ。

並行して、韓国メーカーによる日本人技術者の引き抜きも活発化。あるテレビ技術者は「どうやって調べたのか、05年ごろはひっきりなしに韓国メーカーからヘッドハンティングを持ちかけられた」と苦笑する。

当時はパネル生産から撤退する企業が相次いだことに加え、業績悪化を受けて電機メーカーはリストラを進めていた。世界で初めて有機ELテレビを商品化したソニーも大型化に苦戦し、開発が進んでいなかった。複数の技術者が、ソニーからサムスンへ渡ったとみられる。

サムスンに2年間勤めた日本人技術者は、「彼らは本当に貪欲だった。契約期間中は朝から晩まで質問攻めにされたし、情報漏洩に対するチェックも本当に厳しかった。日本はかなわないと思った」と吐露する。

やがてサムスンは、世界で初めて有機ELディスプレーの大量生産に成功する。大型化は難しかったため、まずは中小型を生産して自社製スマートフォン「ギャラクシー」に搭載。美しい画質とアイフォーンを徹底的に意識した製品仕様で、スマートフォン市場でも追い上げた。

ある業界関係者は「サムスンは博士号を持つ技術者500人を集め、5年かけて有機ELの量産化にこぎ着けた」と言う。資金力豊富なオーナー企業だからできることであり、日本企業がまねするのは難しいとあきらめ顔だ。(下に続く)


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(西澤佑介、前田佳子 撮影:今井康一 =週刊東洋経済2012年1月28日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

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