パナソニック、次世代テレビは“不戦敗” 重すぎた「プラズマ集中」のツケ《上》
サムスンに近い関係者は、「サムスンの有機ELは液晶並みか、それ以下のコストダウンを視野に入れている」と言う。体力勝負に突入するのは時間の問題で、進むも退くも茨の道だ。家電のニューリーダーとなった韓国勢の背中は、はるか遠くになってしまった。
日本勢の中でも、メード・イン・ジャパンを貫き、プラズマテレビに社運を懸けたパナソニックは、とりわけ厳しい状況に置かれている。10年前なら「大型画面はプラズマ、中小型は液晶」とすみ分けできたが、液晶の技術進化は速かった。
プラズマテレビは、日本発祥の技術だ。富士通がカラー化と大画面化に成功し、NEC、パイオニア、日立製作所など各社が相次ぎ参戦。次世代の大画面テレビの本命とされてきた。
流れが変わったのは、2005年あたりからだ。シャープをはじめとする液晶陣営が大画面化に成功し、大画面テレビでプラズマに真っ向勝負を挑んできた。サムスンをはじめとするアジアメーカーも液晶パネルの大型工場建設に乗り出し、投資合戦を避けたいNECや富士通がプラズマパネル生産から撤退した。
液晶勝利の転機はソニーのプラズマ離脱
自社のパネル工場を持たないソニーも、05年にプラズマテレビから撤退。液晶テレビに特化するためにサムスンと液晶パネルの合弁会社「S−LCD」を設立した。
ソニーの元役員はS−LCDの背景について、「液晶が主流になるのは明らかだった。世界のパネル工場の建設計画を見るかぎり、液晶の“作付面積”は圧倒的でプラズマとの勝敗は目に見えていた」と振り返る(11年末にサムスンがS−LCDの全株を買い取り合弁解消)。