大苦戦の「おむすび」最終章に"劇薬"投入の危うさ どう描いても終わらせ方が難しすぎる現状
結の人生とともに作品の軸に据えられたのは、大地震にかかわる描写でした。放送中の1月17日に阪神・淡路大震災からちょうど30年の節目を迎えるため、それを真っ向から扱うとともに、東日本大震災も描くという挑戦的な作品でもあったのです。
しかし、2月24日放送の第101話は期間最低の世帯視聴率10.7%を記録。全話平均でも歴代の朝ドラで最低視聴率の更新が濃厚になっています。さらにXなどでも序盤から「#おむすび反省会」が活発につぶやかれ、「ギャルの描写に感情移入できない」「栄養士としてのシーンが浅い」などの批判が相次いでいました。
ここまでは数字・評判とも上向かないまま推移してきましたが、ラスト1カ月で浮上できるのか。そして制作サイドは起死回生となるべく劇薬といっていいほどの策を用意していました。
それはどんなもので、どんな結果や反響が推察されるのでしょうか。

※以下、発表済みの情報をもとにした多少のネタバレがあります。
残りの放送でコロナを描き切れるか
朝ドラにおけるラスト1カ月といえば、「主要人物の集大成を見せる」という構成が基本。「おむすび」では結、姉の歩、父・聖人、母・愛子(麻生久美子)、夫・翔也、娘・花(宮崎莉里沙)、祖母・佳代(宮崎美子)あたりの人物でしょうか。
ただ、たびたび震災を扱ってきた当作には「それだけでは済ませないだろう」というムードが漂いはじめていました。
第21週で描かれたのは、2019年。テレビ誌などでは、以降の物語でコロナ禍に突入することがすでに明かされています。残りの放送で描かれるのは2020年代であり、「病院勤務の結がコロナ禍にどう向き合っていくのか」が見どころの1つになるのでしょう。
まだまだ人々の記憶に新しいコロナ禍を真っ向から、しかも重要なクライマックスの段階で扱うことに驚かされますし、その意欲と同時に危うさも感じさせられます。
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