大苦戦の「おむすび」最終章に"劇薬"投入の危うさ どう描いても終わらせ方が難しすぎる現状

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「はたして残りわずかな放送期間でコロナ禍を描き切れるのか」「管理栄養士の結がコロナ禍でどんな活躍ができるのか」「コロナ禍にギャル魂を貫くことで空回りしないか」「作品の重要なテーマである震災の経験を絡めたストーリーにできるのか」

特にコロナ禍が中途半端な扱い方になれば批判を受けやすいでしょうし、ギャルや震災の描写を強引にリンクさせようとすれば「こじつけ」などと言われてしまうでしょう。現段階ではコロナ禍を採り入れることは、起死回生の可能性より、不安視する声が上回っている感があります。

終わらせ方の難易度は最高レベル

また、震災を扱った朝ドラだけに2024年1月1日に発生した能登半島地震の描写はあるのか。そこで元被災者の結や歩は活躍できるのか。あるいは、第21週で唐突に1970年開催の大阪万博がフィーチャーされましたが、今年4月13日から開催される大阪・関西万博まで描いて終えるのか。その際、結や神戸の人々はどう関わるのか。

はたして制作サイドは、どこまで描いて、どう締めくくればいいのか。能登半島地震と大阪・関西万博があることで、その難易度は近年の朝ドラで最高レベルと言っていいかもしれません。

「おむすび」の評判がなかなか上がらなかったのは、「けっきょく何を描きたい物語で、主人公の魅力がどこなのか」を視聴者がつかめなかった感があるからでしょう。朝ドラは半年間の帯ドラマだけに「物語と主人公がどんなゴールに向かって進んでいるのかわからない」という状態が続くと視聴者はモヤモヤを抱えやすいところがあります。

だからこそ残りわずかになった放送で、それをしっかり感じさせられるのかが最終的な評価を左右することになりそうです。

ここまでは、ギャル魂を貫こうとする結の姿が魅力的に見えず、被災者の設定を採り入れたのにその後の震災で活躍するシーンがない。さらに、管理栄養士としての進歩やゴールが見えにくく、主テーマの1つである震災ともリンクする気配がない。視聴者の胸がすくような展開がなかなか訪れないことが不満のもとになっていました。

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