もうすぐ発表「米国アカデミー」見所を徹底解説 日本関連は3つの作品がノミネートされている
外からはなかなか見ることがかなわない教皇選挙の裏側、そして聖職者といえども普段の選挙と変わらない策略や駆け引き、スキャンダル、裏切りといった人間くさいやり取りを赤裸々に描くなど、アカデミー賞ノミネート作の王道的作品という声もある。
第2次世界大戦下のホロコーストを生き延び、アメリカへと渡ったハンガリー系ユダヤ人建築家ラースロー・トートの30年にわたる数奇な半生を215分という長尺で描き出した『ブルータリスト』の主演を務めたエイドリアン・ブロディは、同じくアカデミー賞の前哨戦である「ゴールデン・グローブ賞」、「英国アカデミー賞」、「クリティクス・チョイス・アワード」で主演男優賞を獲得。『戦場のピアニスト』に続く2度目の主演男優賞になるか、注目される。
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一方、1960年代の若きボブ・ディランを演じた『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』のティモシー・シャラメも主演男優賞にノミネート。彼は2017年の『君の名前で僕を呼んで』でも主演男優賞にノミネートされており、今回が2度目のノミネート。
20代で2回ノミネートの快挙
20代で主演男優賞に2回ノミネートされたのは、ジェームズ・ディーン以来70年ぶりのこととなる。授賞式直近となる2月23日(現地時間)に行われた、SAGアワード(全米映画俳優組合賞)ではティモシー・シャラメが主演男優賞を獲得するなど、その行方に注目が集まっている。
さらに刑務所で行われている舞台演劇を題材とした『シンシン/SING SING』のコールマン・ドミンゴも実に味わい深い演技を見せている。
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助演男優賞は「ゴールデン・グローブ賞」、「クリティクス・チョイス・アワード」、「英国アカデミー賞」など前哨戦となる賞レースで軒並み受賞している『リアル・ペイン』のキーラン・カルキンが最有力。
亡くなった祖母の遺言で、ポーランドでのホロコースト跡地をめぐるツアーに参加した従兄弟の心の旅路を描いた本作。明るくて社交性も高い一面を見せる一方で、心の奥底には痛みを抱え、とっぴな行動をとる青年の姿を体現してみせた。
主演女優賞はSFホラー『サブスタンス』のデミ・ムーアが最有力だ。デミ演じるエリザベスはかつてのスター女優だが、年齢を理由に番組を降板させられてしまう。そんな失意のエリザベスに謎の男が近寄り、細胞分裂を利用して、若いもうひとりの自分をつくりだす「サブスタンス」という謎の注射薬の存在を耳打ちする。
ただしその効果を持続させるためには、1週間ごとに自分と“もうひとりの自分”を片方ずつ休ませないとならない。エリザベスはその禁断の注射薬を使用して再びスターダムに登りつめるのだが――という物語。
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