もうすぐ発表「米国アカデミー」見所を徹底解説 日本関連は3つの作品がノミネートされている

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この部門のほかのノミネート作品は学校銃乱射事件の生存者の旅路を描く『Death by Numbers(原題)』。テキサス州の死刑囚の刑執行までの日々を追った『I Am Ready, Warden(原題)』。2018年にシカゴで発生した警察官による発砲事件を監視カメラ、CCTV、ダッシュボードカメラ、身体装着カメラなど、さまざまなソースで再構成した『Incident(原題)』。ニューヨーク・フィル初の女性音楽家となったコントラバス奏者オリン・オブライエンを描く『ザ・レディ・イン・オーケストラ: NYフィルを変えた風』(Netflixにて配信中)など。

また、映像ジャーナリスト伊藤詩織の長編監督デビュー作『Black Box Diaries』が日本人監督としては初の長編ドキュメンタリー部門にノミネートされている。6年という制作期間を経て完成させた同作は、自身が受けた性暴力の調査に乗り出していく姿を通じて、日本の問題が次々と露呈していくさまを描き出す。

第97回アカデミー賞
長編ドキュメンタリー部門にノミネートされている『Black Box Diaries』(C)伊藤詩織/Black Box Diaries製作委員会

アメリカ、サンダンス映画祭での上映をはじめ、世界50以上の映画祭で上映され、大きな反響が広がっているが、劇中で、裁判の証拠として提出された映像が承諾なしに使用されているといわれており、日本での公開は未定となっている。

長編ドキュメンタリー部門では『Black Box Diaries』のほかに、パレスチナ青年とイスラエル人青年の命がけの友情を描いた『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』(全国公開中)。ロシアによるウクライナ侵攻の混乱と破壊の中、自分たちの国と文化を守ろうとする3人のアーティストを描く『Porcelain War(原題)』。1960年代の冷戦時代を舞台に、コンゴ独立の歴史をジャズとからめて描き出す『Soundtrack to a Coup d'Etat(原題)』。カナダのカトリック教会が運営する先住民の寄宿学校での虐待行為に立ち上がる人を描く『SUGARCANE/シュガーケイン』(Disney+で配信中)がノミネートされている。

プリキュア監督作品もノミネート

そして日本関連の3本目は短編アニメーション部門にノミネートされた『あめだま』(2月28日より2週間限定で公開中)だ。韓国を代表する絵本作家ペク・ヒナの同名絵本を、『ふたりはプリキュア』シリーズの西尾大介監督、鷲尾天プロデューサーら東映アニメーションがフルCGアニメ化。

他人とコミュニケーションをとることが苦手な少年ドンドンが、周囲の物などの心の声が聞こえてくるようになる――という物語だ。2000年代初めの韓国の情景を丁寧に描写した、どこか懐かしさを感じさせる街の風景と、大阪弁のセリフ回しなどがノスタルジックな雰囲気をかもし出している。

第97回アカデミー賞
短編アニメーション部門にノミネートされている『あめだま』(C)Baek Heena, Toei Animation
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