「台湾有事」最前線の島・与那国で高まる自衛隊依存 中国軍の日本近海での行動で緊迫度増す南西諸島

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南西諸島周辺では中国軍の活動が一段と活発化している。これにともない、空自那覇基地の任務も厳しさを増している。

南西航空方面隊によるスクランブル(緊急発進)の数は、2023年度は401回に及び、全国4方面隊の6割を占めた。中国が尖閣諸島上空を「防空識別圏(ADIZ)」に設定した2013年度以降、毎年400回超えとなっている。

スクランブル回数増「中国軍の脅威」

ただし同方面隊は、中国軍の活動がこうしたスクランブル回数だけでは計れないと指摘する。近年は中国軍機の作戦領域が拡大したり、中国海軍の空母打撃群が南西諸島の海峡を通過して太平洋で恒常的に活動したりするなど、その活動が質的に変わってきているからだ。

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SWADFとは南西航空方面隊のこと。同方面隊が担う空域は広い。ほぼ東西に約920キロメートル、南北に約780キロメートルに及ぶ(図・航空自衛隊那覇基地から受けた概況説明の資料)

具体的には、2012年以前は東シナ海上空で活動していた中国軍機が、2013年以降は宮古海峡上空を飛行して太平洋に進出した。2015年以降は対馬海峡上空を通過して日本海でも活動するようになった。H6爆撃機やY9情報収集機に加え、TB001やWZ-7といった無人機の飛来が目立っている。

また、中国海軍の「遼寧」と「山東」の空母打撃群は2022年度以降、第1列島線(九州-フィリピン)を抜け、西太平洋で恒常的に訓練などを行っている。

さらに、中国とロシアの共同訓練についてもその活動範囲と回数がともに拡大している。2019年7月から始まった中ロの軍用機による合同パトロールは当初、日本海と東シナ海の上空だけだった。

しかし、2020年12月には初めて宮古海峡上空を通過し、太平洋に出た。回数も増え、それまで年1回だったのが2022年には5月と12月の年2回にわたって初めて実施され、2023年6月と12月にはそれぞれ2日連続で合同訓練が初めて行われた。

南西航空方面隊は「中国側の意図は答えられない」とし、引き続き注視しつつ対応能力を高めていく方針だ。

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