「台湾有事」最前線の島・与那国で高まる自衛隊依存 中国軍の日本近海での行動で緊迫度増す南西諸島

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南西諸島近海や東シナ海の安全確保のため、警戒監視と情報収集任務を365日欠かすことなく実施しているのが、「美ら海(ちゅらうみ)の防人」と自らをアピールする海自那覇航空基地配備の第5航空群だ。「美ら海」とは、沖縄の言葉で「美しい海」を指す。

第5航空群は海自の中でも、航空機を運用する部隊である航空集団に属し、主にP-3C哨戒機を運用する。

「尖閣」をよく知っていたのは琉球の船乗り

中国海警局公船による尖閣諸島接近への対応について、第5航空群司令の平木拓宏海将補は「中国海警局の行動については海上保安庁が対応していると認識している。われわれが活動するということはない」と述べた。

海上自衛隊第5航空群司令の平木拓宏・海将補(写真・高橋浩祐)

「尖閣諸島周辺の任務については海保が主たる役割を持っているということだが、どういう状況になれば海自が出動するのか」との外国メディアからの再質問には、「法律的な話になるが、警察権の範疇を超えて要請があれば自衛隊が出ていく」と述べた。

第5航空群の任務の重要性については、「東シナ海には約2000に及ぶ島がある。そして、東シナ海から太平洋に抜けるための海峡を含めた航路がたくさんある。このへんは他のエリアと違い、非常に重要だと認識している」と述べた。

今回のプレスツアーでは、琉球大学名誉教授で元沖縄県副知事の高良倉吉氏から、尖閣諸島をめぐる歴史的経緯についても話を聞く機会があった。

琉球史の専門家である高良氏は、沖縄がかつては琉球王国として中国と盛んな交流があったことを指摘した。中国の明との朝貢貿易だ。

そして、琉球船が500年にもわたって那覇と中国・福建省を往復していたと述べ、その航海の途中にある尖閣諸島を一番知っていたのは琉球の船乗りたちだったと指摘した。

元沖縄県副知事で琉球大学名誉教授の高良倉吉氏(写真・高橋浩祐)

「中国との長い交流の歴史もあって、沖縄の人は本土の人と違って、中国への脅威認識があまりないのではないか」との筆者の問いに対し、高良氏は同意して、次のように答えた。

「沖縄は長い歴史の中で中国の文化をたくさん学んだ。これは他の都道府県にない。そして、中国に親しみを感じる人間が多いというのも事実だ。(華僑の)仲井眞弘多元知事の先祖は、600年前に中国の福建から移住してきた。沖縄県は中国との交流が盛んだ。私個人的にも中国の友人がいっぱいいる。ですから、中国に敵意を抱くのではなく、むしろ親近感を持っているといったほうがいい。それがベースにある」

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