わたし恋に落ちました、お菓子とコンビニに 「お菓子・コンビニオタク」の仕事道とは?

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就職活動では迷わず全てのコンビニを受け、ローソンに入社した。すでに社会人歴は17年になるが、今でも情熱の炎は消えない。

「どちらも変化がすごいんです。コンビニは扱っているサービスがどんどん増えていますし、プライベートブランドの進化も止まりません。お菓子もアレルギーに気遣ったものや、低カロリーなものなどバリエーションが増えました。包装も変わりましたよね。私たちが子どものころは大袋が主流。家族みんなで団らん時に食べることが多かったからですが、今では1人で食べ切れるサイズや、大袋でも中身が個包装のモノが増えている。時代ごとにあり方や姿が変わっていくので、飽きることがないんです」

全ての仕事はお菓子に通じる

松林千宏さん/ローソン 営業戦略本部広告販促部所属。高校3年生のときに近所のコンビニでアルバイトを開始。大学2年生のときに「テレビチャンピオン 第2回コンビニ通選手権」(テレビ東京)で優勝。その後、好きが高じてローソンに入社。入社1年目のときに同番組の「スナック&駄菓子通選手権」、7年目には「お菓子通選手権」優勝と三冠を達成。ローソンでは、商品開発部を経てアイ・コンビニエンス(当時)に出向し、コミュニティーサイト『謎のローソン部』立ち上げに貢献。『謎のローソン部』の運営に携わりつつ、商品開発にも参加

ローソンに入社後、しばらくして念願の商品開発部に異動になった松林さん。しかしほどなくして、携帯サイトを作るグループ企業に出向の辞令が。コンビニからもお菓子からも遠ざかってしまうことになるが、これが大きな転機となった。ローソンユーザーとのコミュニティーサイト、『謎のローソン部(通称「謎ロー」)』を立ち上げたのだ。

「せっかくならここで、お客さまと同じ目線で話をしながら商品開発できたらいいなと考えたんです。商品開発にIT技術を使ったと言うとかっこいいですが、結局は、私がやりたかった商品開発ができる場所を、サイトの中に作っちゃっただけ。やりたいことをやり続けただけです」

『謎ロー』はその後7万人以上の会員を集める巨大コミュニティとなり、さまざまなヒット商品を生み出してきた。「部長」である松林さんの影響力はローソンという企業を越え、最近ではスナック菓子の世界を紹介するプロフェッショナルとして、人気テレビ番組にも出演。番組内で彼女が紹介したあるポテトチップスには注文が殺到し、一時、発売元のサーバーがダウンするほどの事態となった。

ローソンに戻ったあと、松林さんは広告販促部に所属しながら、並行して『謎ロー』の運営を続け、職種の垣根を越えて、商品開発にも影響力を発揮している。ヒット商品を生み出し続けられる理由を聞くと、「視野を広げること」だと話す。

「世の中全体の動きやお客様の動向を知らないと、コンビニもお菓子も進化させることはできません。たとえば最近開発に携わった『蒸し鶏のボウルサラダ』(9月1日発売)は、『謎ロー』に寄せられた声をもとに企画。

これまで、コンビニのサラダはあくまで主食の補佐的な役割を求められていると捉えていたのですが、ユーザーからは『美味しく野菜を食べたい』という声が聞こえてきた。その声に全身で耳を傾け、ボリューム、彩り、味だけではなく、野菜それぞれの火の通し方にまで徹底的にこだわって開発をしたら、今までにないメインディッシュになるサラダが出来上がったんです」

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