効率と公平を問う 小塩隆士著

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効率と公平を問う 小塩隆士著

経済にとって重要な判断基準である効率性と公平性、なぜ両方を無理なく追求できないのか。人々の行動が政策や制度の変更によって影響を受けるからだ。

現在、議論されている消費税率の引き上げで逆進性が問題になっている。食料品など生活必需品は低い税率にして、ぜいたく品は高い税率でいいと、公平性の観点からはそうなりそうだが、税収確保という効率性では、むしろ値上げされても購入をすぐには減らせない食料品のほうが手っ取り早い「増収策」になる。

このインセンティブを考えると、経済活動に対する政府の関与はできるだけ限定的にする「小さな政府」の発想が支持される。だが、効率性の観点をきちんと踏まえた「まともな大きな政府」ならば、こちらのほうがいいとの考え方もある。

少子高齢化時代に効率性と公平性のどちらをどの分野で重視すべきか、教育問題を含め、本書は経済学の視点から大いに示唆を与えてくれる。

日本評論社 1995円

  

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