新米投資家ほど盲信「S&P500」の不穏な落とし穴 長期投資には為替リスクの少ない選択肢も視野に
日本において、超低金利が長く続いた結果、銀行預金に利息がほとんどつかない状況が続いてきました。老後資金への不安や新NISAの開始が相まって、資産形成の手段として株式や投資信託への関心が高まっています。こうした中、日経平均株価やTOPIX、NYダウ、S&P500などの指数に連動する「インデックス投資」が注目されています。
インデックス投資は、投資初心者や銘柄分析に時間をかけたくない人にとって、市場平均を低コストで目指せる魅力的な選択肢です。日本市場では、参加者の約8割が機関投資家や金融機関などのプロで占められており、個人投資家がプロに勝つのは容易ではありません。しかし、インデックス投資を選ぶことで、市場平均を狙うことが可能です。それこそがインデックス投資の強みです。
S&P500の過去の成功と未来への不安
過去10年ほどを振り返ると、特にS&P500をはじめとするアメリカ株のパフォーマンスは圧倒的でした。投資関連の書籍やSNSでも「S&P500への積み立てこそ最適解」という主張を頻繁に見かけます。しかし、ここ10年のアメリカ株の躍進を支えたのは、GAFAM(グーグル、アマゾン、メタ、アップル、マイクロソフト)など巨大IT企業のイノベーションに依るところが大きいからです。今後も同様のイノベーションが続く保証はありません。
また、松井証券のレポートによれば、2024年10月中下旬時点でS&P500のPERは24倍。このPERが「フェアバリュー」とされる15倍に修正されると、株価は約37.5%下落する計算になります。さらに為替面でも、IMFのデータによる直近の購買力平価は1ドル=90円程度。2024年11月1日時点の為替レートは1ドル=153円前後で、41%も円安に振れている状況です。
長期的な視点で見れば、アメリカ株の成長を支えてきた要素が変化する可能性も考慮する必要があります。30年の投資期間を想定する場合、経済危機が複数回発生する可能性があり、そのたびにアメリカの金利が引き下げられ、為替が円高に振れるリスクもあります。仮にS&P500が30%下落し、さらに円高が30%進めば、円建てで資産価値が半減する可能性もあるのです。
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