新米投資家ほど盲信「S&P500」の不穏な落とし穴 長期投資には為替リスクの少ない選択肢も視野に
GAFAM5社の時価総額が、日本の全上場企業の合計を2回買えるほどに達している現状に違和感を抱く投資家も少なくありません。海外旅行時に物価の高さに驚く経験をする人も多く、「円の実力が過小評価されているのではないか」と考える余地があります。
日本円は、購買力平価ベースで1ドル=90円程度とされていますが、現状は153円前後と大幅な円安です。今後、アメリカ経済が減速し、FRBが金利を引き下げる局面に入れば、金利差が縮まり、為替が円高に振れるリスクが高まります。こうしたリスクは、アメリカ株投資において慎重に検討すべきポイントです。
円高リスクが現実化すると、S&P500の資産価値は大きく目減りします。たとえば、1ドル=153円から1ドル=120円に為替が動くだけで、円建て資産は約20%減少します。この為替リスクを見過ごして「S&P500信仰」を続けるのは危険だと言わざるを得ません。
投資を長期的に考える重要性
長期的な資産形成では、短期的なトレンドに惑わされず、冷静な視点が求められます。例えば、テクニカル分析に基づく短期売買は、プロの多い市場ではゼロサムゲーム、さらに手数料がかかるためマイナスサムゲームになりがちです。また、高配当株投資も、成長余地のない成熟企業が高配当を維持するために利益を株主還元に回すケースがあるため、慎重な銘柄選定が求められます。
投資の世界では「アメリカ株一択」といった単純な答えは存在しません。アメリカ株の魅力を認めつつも、日本株を含めた多様な選択肢を検討し、為替リスクを考慮する視点が大切です。
特に、20~30年の長期投資を視野に入れるなら、市場の変化やリスクを柔軟に捉え、適切な分散投資を行うことが、資産形成の成功につながるでしょう。
日本市場への分散、世界株式への投資、為替リスクへの備え──これらを組み合わせることで、将来的なリスクに対応できるポートフォリオを構築できます。大切なお金を守り、育てるために、冷静な判断を心がけましょう。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら