当初は「片頭痛」かもしれないと思い、市販の痛み止めを飲んだが、まったく効果がなかったという。
片頭痛とは、頭の片側もしくは両側のこめかみ付近がズキズキと脈打つように痛む頭痛だ。原因は定かではないが、ストレスや寝不足が影響するといわれている。
あまりにも頻繁に痛くなるので、田仲さんは次に「群発頭痛」ではないかと考えた。
群発頭痛とは、目の周囲から前頭部、側頭部にかけての激しい頭痛が数週間から数カ月の間に何度となく起こるもの。でも、田仲さんの場合、群発頭痛が起こりやすい夜中にはまったく痛くならなかった。
頭痛が起こるのは必ず日中で、下を向いたときに痛くなりやすいという特徴はあったが、原因がわからない。あまりに激しい痛みに不安を感じた田仲さんは、子どもがまだ小さかったこともあり、受診しやすい最寄りの内科へと向かった。
「あの頃は、おじいさんの医師がやっている古い内科しかありませんでした。そこでは問診だけで画像検査は一切してもらえず、『たぶん三叉神経痛でしょう』と、聞いたことのない薬を出されました」(田仲さん)
聞いたことのない薬は、抗てんかん薬だった。
検査もされないで病名を言い渡されただけでも不安だったが、抗てんかん薬という思いがけない薬を処方され、さらに不安を感じた田仲さん。実際、1週間ほど薬を飲んでみたが、まったくよくならなかった。
もしかして脳の病気では……
こうして市販の頭痛薬も、内科で処方された抗てんかん薬もまったく効果がなかったことで、田仲さんは「もしかして脳の病気では……」と悩み始めた。
そしてインターネットで脳神経外科を探していたところ、以前、雑誌で見たことがある頭痛専門のクリニックを見つけて、受診することにした。
診察室で医師に「ひどい頭痛で内科を受診したら三叉神経痛だと診断され、抗てんかん薬を処方されたのですが、薬を飲んでもよくならなくて」と伝えた田仲さん。医師からは「三叉神経痛ではないと思いますよ。まずは検査をしましょう」と言われ、MRIを撮ることになった。
その結果、医師から発せられたのは、「よかったですね。副鼻腔炎です」という言葉だった。