地理的条件はおのずと政治的思考に影響するものだ。東海岸にいれば、どうしても「対面」となる欧州の政治動向を気にするだろう。西海岸にいれば、逆に太平洋やその向こうのインド洋を意識することになる。あるいは中西部あたりにいたら、海外への関心が乏しい「内向き」な政権となるだろう。
「南北アメリカ大陸」を意識する第2期トランプ政権
フロリダから世界を見ているトランプ政権は、南北アメリカ大陸を意識することになる。なんとなれば、フロリダ半島は南北アメリカ大陸の結節点であり、航空網でも南北を結ぶハブとなっているからだ。いきおい旧大陸に対する関心は薄くなり、逆に新大陸は「自分たちの勢力圏」と考えるようになる。
したがって、隣国のカナダとメキシコは自由貿易協定を結んでいるものの、いきなり「25%の追加関税を課す」などと言い出してしまう。彼らは格下の相手だし、制裁関税などの対抗措置を採られたとしても、そもそも経済規模が違いすぎるから勝負にならない。
中米や南米の国々も、「裏庭」もしくは勢力圏という扱いである。ましてや中国などがパナマ運河に影響力を及ぼすことは許しがたい。かくしてルビオ国務長官の初出張は、中米・カリブ海諸国とあいなった。パナマ、エルサルバドル、コスタリカ、グアテマラ、ドミニカ共和国の6カ国を訪問したのだが、この世界では異例の出来事と言われている。
こんなふうに考えてみると、「グリーンランドを買収したい」「パナマ運河を返還せよ」「カナダはアメリカの51番目の州に」「メキシコ湾をアメリカ湾と呼ぶ」といったトランプ氏の一連の発言が理解しやすくなる。要はフロリダから見ていると、世界はそんなふうに映るのだということである。
アメリカこそは新大陸における盟主であり、それ以外の国は格段に国力が落ちる。困ったことに、そういう弱小国の連中はアメリカの繁栄を羨望し、不法移民として入国してくる。しかも薬物や犯罪を持ち込んでくることがある。そんな奴らは「強制送還」してやらねばならぬ。だからこそ、国境を接するカナダとメキシコに強く当たるのであろう。
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