トランプ大統領の「訪日」は7月にしたほうがいい 「トランプ劇場Season2」の鍵はフロリダにあり

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こうなると石破茂首相が訪米し、7日に行われた日米首脳会談で、ほとんど波乱がなかったことが不思議に思えてくる。「石破さんらしくもない。ゴマすりで日米の従来路線を確認しただけじゃないか」なんて声も聞こえてくるが、あのトランプさんを相手に「従来の路線を確認する」ことの難しさを考えれば、やはり望外の成功と言うべきだろう。例えば台湾の頼清徳総統は、今回の日米共同宣言を見て文字通り胸をなでおろしているはずである。

「技能賞モノ」だった石破首相の「立ち居振る舞い」

石破さんが公約した「残高1兆ドル(150兆円強)の対米投資」も、「いついつまでに」とは言っていないし、放っておけば達成されそうな楽な目標である。2023年時点ですでに100.9兆円の対米投資残があり、なおかつトヨタ(自動車)さんを筆頭に北米市場で稼いでいる企業の多くは、利益を日本に送金することなく、ドル建てで現地に積み上げている。そのお金はいずれアメリカで再投資されるから、遠からずこの目標は達成されてしまうだろう。

ネット空間には、「またしても日本が金をむしられる」とか、「これでまた円安が進む」といった悲鳴もあるようだが、そんなにご心配なくと言っておこう。「大きくて丸い数字が好き」なトランプさんに、「1兆ドル」と吹っ掛けたのは技能賞モノであった。

アメリカ産LNGを輸入する話も、大いに結構な話である。LNG供給源の多様化はそれ自体が望ましいことだし、太平洋を渡ってくる船はホルムズ海峡とかマラッカ海峡といった「チョークポイント」を通らなくて済むのがありがたい。

ただし、アラスカの天然ガスをパイプラインで開発輸入するのは、ちと難しいだろう。割高なLNGになってしまうし、開発を始める段階で環境保護団体が騒ぎ出すはずだ。さらに4年後に民主党政権が誕生した場合、いきなり事業停止命令が下る恐れもある。ジョー・バイデン前大統領が、日本向けLNGの輸出許可申請を一時停止していたことをお忘れなく。

つまりトランプさんが「ドリル・ベイビー・ドリル」(ここ掘れワンワン)と旗を振っても、民間企業としてはなかなか手を出しにくい。日米合弁で行うにしても、たぶんアメリカ側の石油開発業者がしり込みするのではないだろうか。

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