台湾の半導体を批判しまくるトランプに抱く懸念 武器購入やアメリカ工場で対応を図りたい台湾

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半導体に限らず、トランプ氏は関税をテコにアメリカ製造業の保護、企業誘致を図ろうとしている。すでに中国製品に対しては2月4日に追加関税を課した。

また、4月1日には中国の不公正貿易慣行に関する調査結果が発表される予定である。その内容によっては中国製品に対する関税率が一段と引き上げられる可能性がある。関税の引き上げだけでなく、電子機器などについては中国製品の輸入規制が強化される恐れもある。

関税引き上げが台湾にとっても頭痛の種

さまざまなシミュレーション結果をみるに、中国製品に対して60%の追加関税が適用された場合には、中国製品から台湾製品への切り替えが行われ、台湾経済にいくらかのプラスに働く可能性がある。

しかし、中国に生産拠点を持つ台湾企業にとっては災難となる。2018年以来の米中摩擦を受け、台湾企業は生産拠点を中国から台湾や東南アジアなどに移してきた。その結果、台湾企業の輸出受注品の中国・香港内生産比率は2016年の49.8%をピークに低下しているが、それでも2023年時点で37.8%の水準にある。しかも、中国・香港の生産拠点の出荷額のうち、アメリカ向けは22.2%を占めている。決して低くはない数字だ。

また、3月初頭まで発動が見送られているメキシコ製品に対する25%の追加関税も台湾企業にとって頭痛の種だ。アメリカ向けの労働集約型製品の輸出拠点として、また、米中対立を受けた中国からの輸出拠点の移転先としてメキシコを活用している台湾企業が少なくないからである。

最近はAIサーバーメーカーや関連のサプライヤーがメキシコに進出している。追加関税が課されることになれば、よりコストの高いアメリカへの進出も検討しなければならなくなる。

トランプ氏は「相互関税」という名の下、他の国・地域に対しても関税を引き上げる可能性を示唆している。アメリカの対台湾貿易赤字は2024年時点で739億ドル、2017年対比3.4倍に拡大している。その規模は、中国、EU、メキシコ、ベトナムに次ぎ第5位だ。台湾に対する関税引き上げの可能性は排除し切れない。

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