JA対馬・エース職員の死、22億円不正の闇に迫る 『対馬の海に沈む』著者・窪田新之助氏に聞く

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『対馬の海に沈む』著者の窪田新之助氏
[著者プロフィル]窪田新之助(くぼた・しんのすけ)/ノンフィクション作家。1978年生まれ。明治大学卒業。2004年JAグループの日本農業新聞に入社。農政や農業の生産現場の取材をする。12年に独立。著書に『農協の闇』『データ農業が日本を救う』。本書『対馬の海に沈む』は開高健ノンフィクション賞を受賞。(撮影:尾形文繁)
長崎県の対馬。過疎化が進むこの島の対馬農業協同組合(JA対馬)に、共済(生命保険や損害保険)契約数で「日本一」と評された営業マンがいた。しかし2019年2月、車ごと海に転落し、対馬の海に沈んだ。死の真相に迫ったノンフィクション作家、窪田新之助氏に聞いた。
対馬の海に沈む
『対馬の海に沈む』(窪田新之助 著/集英社/2310円/328ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──一台の車が海に転落するシーンから始まります。

運転席にいた男はハンドルを握ったまま、両目を開いていた。おそらく意識はあった。駆けつけた住民が「早よ、出らんね」と、何度も叫んだが、男は微動だにせず、そのまま沈んでいった。

亡くなったのはJA対馬職員の西山義治(享年44)。体内からは基準値を超えるアルコールが検出され、警察は事故死とした。

──大規模な葬儀でした。

JAグループの組合員や関係団体、地元の企業や取引先業者など大勢の人が参列し、香典は実に680件も集まった。JA対馬の関係者は「一職員が亡くなって、あれだけの香典が届けられることはない」と話した。

西山はJAグループの中でも全国屈指の実績を誇る有名なライフアドバイザー(LA)だった。

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