核兵器と気候変動「世界終末時計」が示す警告 2025年"残り89秒"核の脅威と気候危機を警告
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だが、ソ連の崩壊は、それまで二大大国の一方が保有していた核兵器に関する機密情報が流出し、かえって核兵器が世界に拡散してしまうのではないかという新たな懸念を浮上させ、再び終末時計の針を前進させた。この懸念は1998年に対立するインドとパキスタンがともに核実験を実施したことによって現実のものとなった。
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脅威の多様化
21世紀に入ると、アメリカは核兵器の脅威だけではなく、ニューヨーク・ワールドトレードセンターを襲った9.11テロとその余波をはじめ気候変動によるCO2削減の必要性や、世界の平均気温の上昇による農作物への影響、相次ぐ山火事といった、それまでにない類いの脅威によって、より直接的な影響を受けることが多くなった。
BASはこのような問題を世界終末時計の時刻を決める新たな脅威要素と考え、2007年より、気候変動の影響を終末時計の時刻決定要素に取り入れることにした。
核の脅威と気候変動の脅威はまったく異なる類いのものだが、いずれも世界的に大きな災害となりうるものであり、それらはいずれも最終的に人類になにをもたらすかを考えれば、リスクの深刻度は同じと考えてのことだった。
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BASは長年、新たな破壊的技術がもたらす課題についても考察をしてきた。その例には人工知能(AI)、生物兵器、ナノテクノロジーなどが挙げられる。それらは、既存の核兵器や環境の脅威と融合することで人類に対する大きな脅威となり得る。
2015年、BASは終末時計を午後11時55分から午後11時57分に進めた。そして、その背景には3つの重要な問題があると指摘した。第1は、世界の核兵器の90%を保有する米ロ間の関係が悪化していること、そして核兵器の安全を守るための多くの手段が損なわれていることだ。
第2には、あらゆる核保有国が、核兵器システムの更新、拡張、改造など、核兵器システムに大規模な投資を行っていることを懸念した。そして最後に、気候の脅威に対処するために必要な国際的枠組みの進展が見えなかったことだ。
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