核兵器と気候変動「世界終末時計」が示す警告 2025年"残り89秒"核の脅威と気候危機を警告

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これらの懸念は、後に第1次トランプ政権によるアメリカ国内の混乱やロシア・中国の軍拡、アメリカ・イランの間の緊張の高まり、進展のない気候変動問題、新型コロナのパンデミックなどを経て膨張を続け、終末時計の針は2020年に初めて「残り2分」を切り、午後11時58分20秒となった。

残り89秒

現在、世界終末時計の時刻を決める評価の基準は、核の拡散状況や各地の紛争状況、気候変動に加え、感染症や兵器、AIの利用など「地球規模の存在に対する脅威」を広く含めるようになっており、2分を切った終末時計の針は、じわじわと前進を続けている。

BASは2025年の報告書で、SNSなどを中心に誤報や陰謀論が拡散する問題が、「脅威を増幅させる大きな要因」になっていることも指摘している。

BASの科学者らは、世界終末時計は医師の診断書のようなものだと述べている。「できる限り多くの症状、測定値、状況を考慮する。そしてもし、指導者や市民がその状況を治療するために行動を起こさなければ、何が起こりうるかを要約して判断する。

この警告は主に権力者に向けたものだが、核兵器や気候変動による脅威を学び、他の人々と議論し、自分たちの代表者に働きかけることで、一般の人々も対応することができるはずだ」と述べている。

最新の世界終末時計は、午後11時58分31秒(残り89秒)を指している。それは、この世界が1947年から続く世界終末時計の歴史上、最も終末に近づいた状態であることを表している。

アイアン・メイデンは『悪夢の最終兵器(絶滅2分前)』のサビの部分で、「真夜中まであと2分 破滅を運命づける手が 真夜中まであと2分 まだ見ぬ胎児を殺すために」と歌っている。

ヘヴィメタル曲の歌詞らしくショッキングな表現だが、これは、世界がこのまま終末に向かえば、これから生まれてくるであろう子どもたちの将来を奪うことになりかねないと、われわれに警告する内容とも受け取れる。

BASは、世界終末時計はいつこの世の終わりがやってくるかを示すものではなく、人々が未来をよりよいものにするために、いま何ができるか、何を変えられるかを考え、行動することを促すためのものだと呼びかけている。

タニグチ ムネノリ ウェブライター

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たにぐち むねのり / Munenori Taniguchi

電気・ネットワーク技術者として勤務したのち、Engadget 日本版(閉鎖)でウェブライターとして執筆開始。以降、Autoblog 日本版(閉鎖)、Forbes JAPAN、Gadget Gate、Techno Edgeなどでグローバルなトピックを中心に執筆。得意ジャンルはIT・ガジェットからサイエンス、宇宙、自動車・モータースポーツ、音楽・エンタメ、ゲームと幅広い。

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