少数の天才に頼らず「チームでの制作」を仕組み化している…中高生が密かに楽しむ「peep」マンガ創造の"舞台裏"

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──確かに、長期的な勝利に投資できるかどうかはかなり個人の資質がかかわってきますよね。

大石:僕も経営者でありながら現場でクリエイティブを見ているので、コンテンツを磨いていくためにはどういったところにお金や現場の時間を投資すべきか、クリエイターとしての直感も生かしながら細やかに判断できます。

なので、目をつぶってコンテンツに投資をしているという感覚はなく、きちんとコンテンツと向き合って投資ができています。

他方で、実際に制作した経験のない人間がエンタメ会社の経営をやると、一年で回収できない事業ってなかなか勝負したがらないと思うんですよ。そうすると、短期的な勝利だけを目指した経営になってしまう。どちらかだけを重視するのではなく、長期的な勝利と短期的な勝利の両方を見据えてバランスよく経営していくのが肝要ですね。

──一方で「短期的な勝利」も大事にされていると。

大石:その通りです。弊社は作品ごとのリクープ率(投資費用の回収割合)が高いので、基本的には事業としてはずっと黒字です。

背景にあるのは、明確な撤退基準を設けていること。原稿料や人件費を差し引いて、赤字になってしまうラインをクリアできなければ作品は打ち切られます。プロデューサーは作品の結果と原因を言語化してビジネスサイドに伝えます。決して感覚やセンスだけで経営はしないですね。

また、peepでは章ごとにストーリーを作っているので、章単位で売り上げを見ながらシナリオや構成を調整していきます。自社だけでなく、コンテンツを掲載していただいているプラットフォーム側からも数字をもらって、それをチームに反映して話し合って……というのを毎回やっています。プロデューサーはたくさんの作品を並行して担当するので、自然と知見が蓄積されるんです。

エッジの効いた作品が多いが、すでに幅広い世代に読まれている(写真提供:taskey株式会社)

──定量的な判断は経営者としてデータドリブンでロジカルに方針を決める一方で、定性的な判断はクリエイターとして直感レベルのことを信じてみるという、両軸の判断基準があると。

taskeyとクリエイターとの向き合い方

──作品が終わっても、作家さんと一緒にお仕事する関係が終わるわけではないとのお話が出ましたが、作家さんとの向き合い方についてはどのようなシステムなのでしょうか。

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