少数の天才に頼らず「チームでの制作」を仕組み化している…中高生が密かに楽しむ「peep」マンガ創造の"舞台裏"
大石:原作である小説チームとマンガチームで分かれているので、原作担当の作家さんも、ネーム担当の作家さんと作画担当の作家さんという感じで分かれていることが多いです。もしその作品が終わる場合は、担当していた作家さんが、また別の作品にアサインされていく場合も存在していますね。
──週刊連載の雑誌ではあまりないスタイルですよね。
大石:弊社がこのスタイルに行き着いたのは必然性があって、そもそも始まりが小説だったのが大きいんですよ。黎明期は自社で小説を作り、それをコミカライズする作家さんを探して……という流れでした。
けれど当然、後発の会社は作家さんを探すのも、スケジュールを押さえてもらうのも苦労します。実際、立ち上げ当初はかなり苦労しました。それこそ、ネームだけ担当してもらうとか。
──例えば、売り上げがあまり伸びておらず、撤退ラインにかかっているけれど、チャレンジとして投資するみたいなことはあるんでしょうか?
大石:「続ける」判断をするうえで、その投資をすることは基本的にないです。ただ、「始める」判断──つまり、ジャンルとして大きなチャレンジをしてみようと思って投資することはあります。今だとバトルやスポーツものですね。実は、Webマンガから生まれたスポーツものの明確なヒットはほとんどないんですよ。だから、そこを取りに行きたい気持ちはあります。
peepの見据える今後の展望
──確かに、Web発のスポーツマンガでヒット作と言われると、あまり思いつきませんね。最近サービスが始まった『ジャンプTOON』は『ハイキュー!!』のタテヨミカラー版を公開したりしてWebにおけるスポーツものへの意欲があるのかなと感じるのですが、さまざまな企業が参入している縦スクロールマンガで突出するための戦略は考えていたりするんでしょうか。
大石:正直、僕は縦スクロールマンガにそれほどこだわっているわけではなくて、やはり事業の根幹にあるのは「IP」を生み出すことです。「IP」を生み出すうえで作品ごとに「縦スクロールマンガ」「横読みのマンガ」、どちらがいいか選択するだけです。
さまざまな会社が「IP」という言葉を都合のいいように使用している印象があります。それら事業の主体者がイメージするIPは、ゲームになったりグッズになったり多角的に収益化できるコンテンツのことを指していると思いますが、それをどこから生み出すかという選択なだけで、決して縦スクロールマンガだからグローバルでヒットするIPになるとは限らないです。
現状では縦スクロールマンガよりも、熱狂的な読者の多い横読みマンガからアニメにしていくほうが、世界で勝負できる可能性が高いと思っています。
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