レビューは賛否なのに大人気のホラーゲーム 遊ばなくても楽しい? 評価の二極化が示すゲーム市場の変化

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主観視点のゲームは操作が少し独特になる。コントローラーの場合、右スティックでカメラを動かしながら左スティックでキャラクターを移動させつつ、ほかのボタンも操作する必要があるわけだ。これはゲームに不慣れな人にはなかなかハードルが高い。

日本の現状を考えると、PCゲーム市場は徐々に人気が出てきているもののそこまで浸透しきってはいないし、主観視点のゲームが遊べないという人もまだいる(※)わけで、『ポピープレイタイム』が遊びづらい状況なのは確かだろう。そして、これがゲーム実況人気に繋がっていく。

(※)たとえば「バイオハザード」シリーズは最新作『バイオハザード ヴィレッジ』で主観視点を採用しているのだが、あとから三人称視点に対応するといった措置を講じている。馴染みきっていない証左のひとつだろう。

遊ばない層から人気が出て、遊んだ人は違う評価

チャプター4では、毛糸のライオン「ヤーナビー」が登場。毛糸のふわふわとしたグラフィック表現などもパワーアップしている(画像はYouTubeより)

『ポピープレイタイム』チャプター4は記事執筆時点ではPCでのみリリースされており、話題性はあるが実際に遊べている人はまだそこまで多くないと考えられる。つまり、まだ需要と供給が追いついていない状況なのだ。

そして、こういった状況ではゲーム実況の価値が高まっていく。プレイできないならば誰かに遊んでもらう「遊びの外注」といえる状況ができあがるわけだ。

『ポピープレイタイム』チャプター4は前述の理由から遊びづらく、しかし興味を持つ人は多い。それならば、誰かが遊んでいるところを動画で見れば、手軽なうえに無料で楽しめるわけだ。なんなら実況する人のおかげで怖さも薄れ、怖がりの人すら楽しめるかもしれない。

記事執筆時点では約4700件のユーザーレビューがあり、評価は低い部類になっている。レビュー内容としては不具合について書かれていることが多い(画像はSteamをキャプチャーしたもの)

記事の最初に、本作はユーザーレビュー評価が低いと書いたが、これは買って遊んでいる人の意見となる。『ポピープレイタイム』チャプター4は頻繁にバグに遭遇するうえ、開発会社のメンバー変更があったことなどから不満を集めてしまっている。

一方、ゲーム実況においてバグは撮れ高になったり、あまりにも問題がある場合は単純にカットされる可能性もある。そういった違いから評価に温度差が生まれるわけだ。

一口に「人気のあるゲーム」といってもそのパターンはさまざまだ。遊んだ人が軒並み高評価をつけるケースもあれば、特定の層だけが喜ぶゲームもあるし、あるいはゲーム実況で盛り上がるパターンもある。

『ポピープレイタイム』は複数の意味でプレイしづらいゲームである。それゆえに日本では特にゲーム実況で人気を集めており、YouTubeのような場においてはむしろ遊んでいる人の意見すら押しのけて目立っていくのだろう。

なお、筆者も実際に『ポピープレイタイム』チャプター4を遊んでいる。商品としての品質は確実に上がっているが、新しく登場するおもちゃのデザインがいまいちなのが残念だった。実際、新キャラよりも古参キャラのハギーワギーのほうに注目が集まっている状況だ。

ただ、それはそれとして『ポピープレイタイム』チャプター4が大きな盛り上がりを見せているのも事実だ。評価は正しいひとつがあるわけではなく、多面的であり、どこを切り取るかによって大きく変わってしまうものなのである。

渡邉 卓也 ゲームライター

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わたなべ たくや / Takuya Watanabe

いわゆるテレビゲームを専門にコラム・評論などの記事を書くライター。大学卒業後はサラリーマンになったが、満足にゲームを遊べない環境にいらだちを覚えて転身。さまざまなメディアにゲーム関連の記事を執筆。駄作に対して厳しく書いてしまうことでも知られる。

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