45歳で死を望んだ彼女が迎えた「安楽死の瞬間」 その時、医療介助死を支えた医師が感じたこと
わたしはベッドサイドにある低いテーブルに腰を下ろした。「いまからあなたの同意を確認します」と告げ、本人による確認が必要な事項を読み上げた。
「あなたは稀な肺疾患と診断されました。症状が進行しています。治療の代替案は知らされていますが、あなたはどれも受け入れることができません。あなたはこの病気の症状のために苦しんでいます。あなたは死ぬための援助を求めています」
同意の声は震えていたが、明瞭だった
次に、いまから使う薬を読み上げた。すべての医師がそうするわけではないが、わたしは当事者には知ってもらいたいと思っている。そして最後にわたしはこう言った。
「この同意によって、あなたは死ぬことになります。それは理解していますか? あなたの死を確認したら、検死官に電話で報告をします。このまま続けることを望みますか?」
この間、ヨランダはじっとわたしを見つめていた。しっかり開かれた目には、意志の光が宿っていた。同意を表明する声は震えていたが、明瞭だった。
友人たちが部屋に戻ってきて、ヨランダを取り囲んだ。彼女のそばにひざまずく人もいた。だれもが泣き、ほほ笑み、愛を贈り届けようとしていた。だれかが彼女の足をさすっている。
ヨランダは1人ひとりの目を見つめながら、「これ以上はない最高の見送りだわ」と言った。「最期のプレイリストを流して」。