安楽死を決めた彼女をイラつかせた「人々の行動」 その日が来るまでゆっくり過ごしたいのに

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(写真: ks__1984/PIXTA)
高齢化が進むなかで「安楽死」が頻繁に話題にあがるようになりました。2016年に安楽死を合法化したカナダでは、細かく法改正をしながら現在総死亡者数の3%前後の人が安楽死を選択しているそうです。
「死」を自分で選ぶ時代になった今、安楽死を選ぶ人はどんな思いで選択し、見送る家族や医師はどう受け止めているのか。法律の解釈はどう変遷していったのか――。『安楽死の医師』より一部を抜粋・編集してお届けします。
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西洋医学は長く生きることだけが目的に

ヨランダの医療介助死(MAiD:Medical Assistance in Dying)が決まってから、わたしは当日の準備のために、ヨランダが何時に来てほしいと望んでいるのか、何人集まるのかを知る必要があった。

ところが、その確認のために電話したとき、電話の向こうから聞こえてくる消え入りそうなかすれ声に驚いた。死ぬために必要な手続きが「果てしなく続いて、疲れきった体で対処するにはあまりにも複雑すぎる」と苦労を打ち明けられた。

「西洋の文化や医学は治療のことしか考えていない。こんな治療法があるとか、これを試してみようとか、そればっかり。少しでも長く生きることが無条件に目的になってしまってる。そんなの、わたしにとってはどうでもいいことなのに。こんな状態で生きていたくない」

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