職場乱す「承認欲求こじらせ社員」の取り扱い方 「自己アピール過剰」や「かまってちゃん」など

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「話を聞く限り、Aさんはかなり承認欲求が強いタイプですね。なので、Aさんとの対話の機会を増やして、『ちゃんと見ているよ』という姿勢を逆アピールするのはどうでしょうか」

一瞬、「ゲッ」と眉をひそめながらも、「なるほど……」と唸るB部長。そこで私は以下の提案をした。

① Aさんとの1on1の機会を定期的に持ち、仕事以外の雑談をしたり、Aさん自身の話に耳を傾けたりすること
② Aさんの働きに対して、まず「良い部分」を見つけて褒めること。指摘をするならそのあとから
③ どんなささいな働きに対しても、必ず「ありがとう」「助かったよ」などの感謝の言葉を述べること
④ Aさんに「この企画どう思う?」などと、あえて部長のほうから頼ってみること

承認欲求が強い人には、子どもの頃に親や大人から「ありのままの自分」を認めてもらえなかった欠乏感があり、それを埋めようと他者承認を必死に求めてしまう傾向がある。そのため、まずは対話の中から「素のその人」を引き出し、認め、肯定するプロセスが必要だと考えた。

会社の上司が部下の自己肯定感の底上げまでする必要はないのかもしれないが、部長はまだAさんへの期待が残っていたため、チャレンジする価値はあると感じた。

ただ聴くことがもたらす偉大な効果

それから3カ月後。部長にその後の様子を尋ねると……。

「すみません。ぶっちゃけ、萬屋さんのアドバイスに『子どもじゃあるまいし、効き目あるのか』と不安ではあったんですけど(笑)。実践してみたら、だいぶ良い方向に変わってきたんですよ」

彼がとくに力を入れたのは、オンラインでの1on1だ。

最初の1カ月は毎週、30~40分ほど時間をとり、Aさんの日常生活や好きなこと、趣味など、彼女の話したいことを話してもらう。部長は意見を挟まず、ただひたすら聴くことに徹したようだ。オンラインで行ったのは、対面よりカジュアルな雰囲気が出て、気楽に話せると思ったからだそう。

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