「K-POPアイドルの推し活をしている話を延々と聴かされましたけど、本人の目がいきいきし出して。彼女の素の姿が垣間見えた気がします」(B部長)
すると、次第にAさんの口から本音が……。彼女自身、子どもの頃から父親との関係がうまくいっておらず、葛藤を抱えていたこと。実は企画をゼロから生み出す自信がなく、無理して頑張っていたことなど、涙ながらに打ち明けてくれた、とのことだった。
部長はそんなAさんに対し、まずは企画のサポート業務に就いてもらいながら、スキルアップに励んでもらうこと。さらに、企画立案の方法について学べるような書籍やセミナーを複数紹介。その後も隔週で1on1を継続する中で、Aさんの精神状態も落ち着きと明るさを取り戻し、前よりも肩の力を抜いて、やるべき仕事に真摯に取り組むようになったそうだ。
人生のどこかで「自己承認」の作業が必要
Aさんは、②の「被害妄想」と③の「かまってちゃん」が合わさったタイプだが、元来、素直な性格ということもあり、今回のような“密な関わり”が功を奏したともいえる。
この関わり方が必ずしもすべてのタイプに有効とはいえないが、承認欲求が強めの人は総じて「自分のことをわかってほしい」「認めてほしい」との思いがあるため、その人の話にしっかりと耳を傾け、受容することで、態度に良き変化が表れる可能性はありそうだ。
ただ、変に持ち上げすぎて、問題行動をさらに助長させてしまうのは本末転倒。①の「自己アピール過剰タイプ」なら、ますます天狗になって他者をこき下ろすかもしれないし、④の「頑張りすぎて燃え尽きタイプ」なら頑張りに拍車がかかり、心身を壊すどころか暴走する可能性もある。
50代、60代と熟年期になっても、いまだ承認欲求の塊のような人もいる。管理職や経営層など確固たる地位を築いていても、後進にチャンスや手柄を譲らず、独り占めするような人も少なくない。その姿は見るに堪えず、人としての成熟度に欠けているように見える。
結局、人は生きていく過程のどこかで己の心と向き合い、自分で自分を認めていく「自己承認」の作業が必要なのかもしれない。そういう内なる自信を持つ人が周りからの信頼と協力を得て、息長く活躍しているように思う。
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