フランスで三四郎と生きる人生
1月某日、人の一生というのは誰にもわかるものではない。昔の自分は、今の自分の人生を全く想像することが出来なかった。文化的には影響を多少受けていたが「フランスで暮らしたい」などと思ったことさえなかった。でも、押し出されるように、ぼくはある日、日本を離れることになった。ここを目指して生きてきたわけではないのに…。
これは本当に偶然の積み重ねで、それを言えば、うちの息子は日本人なのにパリで生まれ、ここフランスで成人を迎えた。彼こそ、なんでぼくだけ、と長年思って生きてきたはずだが、誰のせいでもない、これを運命というしかない。
そして、気が付けば、どこからともなく不意に子犬がやって来て、ぼくは迷わず、三四郎、と名付けた。その子は今日もぼくの腕の中にいて、ぼくをすっかり魅了し、しかも彼はぼくを頼り切って我が家に普通に居座っている。


















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