想定外の緊急入院
季節の移ろいは早い。12月に入り、病院のエントランスホールには大きなクリスマスツリーが飾られていた。そこには「患者さんも医療チームの一員です」というメッセージが添えられている。心強いひと言である。
12月は中旬まで比較的病状が落ち着いていた。仕事の関係者とお茶を楽しんだり、吉祥寺に買い出しに行って、帰宅後に手料理を楽しむなど充実したプライベート時間を過ごすことができた。腰骨への骨転移も痛みが出るわけでもなく症状は穏やかで、抗がん剤治療も順調だった。
状況が一変したのは下旬に差し掛かるころだった。38度台後半の高熱が3日間続き、食欲もなく口にするのはりんごジュースぐらい。ぐったりしたままの寝たきり状態が続いた。
体温がやや下がったところで、通院日を迎えた。まずは採血検査を行い、医師の診察に向かう。待合室で待つのも辛く看護師さんに頼んで、診察時間まで処置室のベッドで横にならせてもらった。
30分ほどうとうとしただろうか。主治医がやって来て「今日は抗がん剤投与はやめましょう。免疫力が低下しているから。このまま入院して抗生剤を打って様子を見ましょう」と、想定外の緊急入院となったのである。
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