トイレに行く回数が激減
10月末の膀胱全摘手術は順調に終わり、集中治療室での経過観察を含め術後1週間ほどで退院となった。3月の膀胱がん発見時に腎瘻手術を済ませており、尿路変更術が不要だったため、3分の1程度の短期間で退院することができたのだ。
術後は集中室にいた翌日からリハビリ生活がスタートし、病棟の部屋に移ってからも続いた。ベッドの上でこわごわと状態を起き上げることから始め、ベッドの縁に座る、病室内を歩くなどの行為を繰り返していくうちに体が慣れ、退院時には普通に歩けるようになっていた。リハビリは侮れない。
自宅に戻ってからの生活は、手術前とは一変した。象徴的なのはトイレに行く回数が激減したことだ。手術前は頻尿と血尿のためひどいときは1時間に1回の頻度でトイレに駆け込んでいた。それが退院後は、ウロガード(尿の集荷袋)内の尿を捨てる朝の排便時と、夜の尿捨て時の2回から3回で済むようになったのだ。
この差は大きい。1時間おきに起きていた頃に比べ、朝まで熟睡できるうえ、「トイレに行かなくては」というストレスから解放されたことも大きい。これだけでQOL(生活の質)は格段にアップした。
十分な睡眠が確保できるようになったこともあり、食欲も復活した。具合のいい日には吉祥寺のショッピングセンター内にある魚屋をのぞき、鯛やブリ、赤エビなど好みの魚介類を購入して帰宅後に料理する、そんな生活も戻ってきた。
日中の暖かな時間帯には近所の公園に向かい、日々色づいていくイチョウの姿をじっくりと眺めた。秋がどんどんと深まっていった。
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