(第33回)日本製造業が固執する現場信仰は正しいか?

✎ 1〜 ✎ 98 ✎ 99 ✎ 100 ✎ 最新
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

しかし、フィードバックには、正も負もある。上で述べたのは、負のフィードバックだ。ITのように進歩が速い分野では、生産現場の声は足かせになる危険が高い。古いビジネスモデルから脱却できなくなるのである。過去のビジネスが成功したものである場合は、特にそうだ。

ソニーの失敗は、工場をEMSに売却したため、開発と生産現場のインタラクションで生産技術を磨きあげる機会を失ったことだと言われる。そうだろうか? フィードバックで実現できるのは「改善」であって、まったく新しいコンセプトの製品ではない。事実、アップルの新製品は、現場からのフィードバックで生まれたものではない。

「フィードバックが必要」とか、「現場力こそ強さの源泉」とかいうのは、生産工程を擁護するための後付けの理屈である場合が多い。それは、「はじめに現場ありき」という現場信仰の表れなのだ。

まだ残っている日本メーカーのブランド力

アメリカにおける液晶テレビの市場シェアは、図のとおりだ。たった1年の間に、パナソニック以外の日本メーカーは、軒並みシェアを落とした。ソニーのシェアは、いまやVIZIOの3分の1程度だ。アメリカで、テレビと言えばソニーだった時代は、遥か昔になってしまった。

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事