超有名な医学誌が発表、「1日のお酒の適量」とは? アルコールの「がん発生リスク」もここまで判明

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アルコール摂取は、アメリカ国内で“予防可能ながんの要因の3番目”とされている。

アメリカの2019年のデータでは、全がん症例に占める発がん原因の割合は、1位が喫煙で16.9%、2位が過体重・肥満で7.8%、3位がアルコールで4.9%となっている。がん死亡の原因は同じく喫煙22.3%、過体重・肥満6.9%、アルコール4.8%だ。

アメリカでは、毎年約10万件のがんと2万件のがん関連死がアルコールによって発生していると見積もられており、飲酒によって、乳がんや大腸がん、食道がんなど、少なくとも7種類のがんが引き起こされる可能性があることは、今や定説となっている。

アルコールのがん発生の仕組み

アルコールのがん発生のメカニズムは、アルコールが体内で代謝される際に生成される「アセトアルデヒド」という物質が重要なポイントとなる。

アセトアルデヒドは毒性を持つ化学物質であり、発がん性が確認されている。この物質はDNAを損傷し、その修復を妨げることで細胞に変異を引き起こし、がんの発生をもたらす。

さらに、アルコールは体内で活性酸素を生成し、細胞や組織を損傷する。特にホルモンのバランスを乱すことが指摘されており、女性ホルモンのエストロゲンの働きに影響を与えることで、乳がんなどホルモン依存性のがんのリスクを高める可能性もある。

このような直接的な作用に加えて、アルコールは口や喉の細胞の透過性を高めるため、タバコなど、ほかの発がん物質が細胞に侵入しやすくなるともいわれている。

特に日本人で注目されるのが、少しお酒を飲んだだけで顔が赤くなったり、頭痛や動悸、吐き気を感じたりする「フラッシング反応」と呼ばれる現象だ。

アルコールを摂取した後に、体内で生じたアセトアルデヒドを分解する酵素が「ALDH2」だが、これがうまく働かない体質の人が、日本人では約40%もいるとされる。かくいう筆者自身もそうで、お酒を飲むとすぐ顔が赤くなる。

アセトアルデヒドが蓄積すると、ただの不快感だけでなく、食道がんなどのリスクも高まることが知られていて、名古屋大学などの報告では、お酒に弱い体質であるにもかかわらず多量に飲酒する人は、食道がんのリスクが高まる可能性が示されている。

このフラッシング反応は、「お酒が体に合っていない」という体からの重要なサインとなる。この場合、無理に飲酒を続けるのではなく、飲みすぎないよういっそう気を付けなければならない。

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