超有名な医学誌が発表、「1日のお酒の適量」とは? アルコールの「がん発生リスク」もここまで判明

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国際がん研究機関(IARC)は、アルコールを「グループ1の発がん性物質」に分類している。これは“発がん性が明確に証明されている物質”であることを意味する。

そして少なくとも以下の7種類のがんに関して、アルコールが原因の1つであることが認められている。その種類は、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、肝臓がん、大腸がん、そして乳がんだ。

健康によい飲酒量は「1日0杯」

注目すべきは、アルコール摂取量とがんリスクの「量–反応関係」だ。今では、摂取量が少なくてもがんのリスクが増加することが示されている。

2018年に医学誌『ランセット』に掲載された分析では、飲酒量が少量であってもがんのリスクが増加することが示され、健康へのリスクを最小化する飲酒量は「1日0杯」であると結論づけた。つまりアルコールはそもそも摂取しないほうがいい、というわけだ。

この研究は、少量の飲酒なら安全であるという一般的な認識に対して疑問を投げかけ、世界中で大きな話題となった。

また、日本の疫学研究でも同様に、少量の飲酒でも発がんリスクが上昇することが示されている。

東京大学の研究者らの論文では、日本人も飲酒をしない人が最もがんになるリスクが低いという分析がある。アルコール摂取が少しずつでも増えるほどがん発生のリスクが高まり、1日1杯の飲酒でも10年も続けると1.05倍程度がんになるリスクが高まっていた。

そしてこのリスクは、大腸がん、胃がん、乳がん、前立腺がん、食道がんなど、比較的よくあるがんで高いことが判明した。

国立がん研究センターの発表では、飲酒の頻度や量の増加に伴い、特に閉経前の女性で乳がんリスクが上昇することが示され、また1日1合以上の飲酒が、男性の胃がんにかかるリスクを高めることが報告されている。

このように、アルコールは単なる嗜好品ではなく、健康に深刻な影響を与える物質であることを、私たちは改めて認識する必要がある。このような指摘をすると、酒がまずくなると怒られるだろうが、冷静に科学的なリスクを知ったうえで、アルコールと向き合うしかない。

アルコールは健康に有害であるにもかかわらず、タバコと同じような厳しい規制の対象とはなっていない。この違いにはいくつかの要因が影響しているだろう。

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