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「ヤルタ会談2.0」で戦勝演出狙うプーチンの思惑 トランプvsプーチン第2ラウンドはどうなるか

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  • 吉田 成之 新聞通信調査会理事、共同通信ロシア・東欧ファイル編集長
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ヤルタ会談は、第2次世界大戦の終盤に戦勝国がドイツを東西に分けて分割管理することを含め、戦後体制を決めた会議だった。

今回の会談はウクライナ戦争をめぐり、プーチン政権がロシアの勝利が確実になったとの認識に立って、ウクライナ戦争後の欧州の新秩序として、ウクライナをロシアの勢力圏、あるいは北大西洋条約機構(NATO)非加盟国として固定化することをアメリカとロシアで確認することを狙っていることを示すものだ。

ロシアのOCH通信は最近、「プーチンとトランプの会談の主要議題はウクライナではない。プーチンは、ロシアとアメリカの新たな勢力圏分割を決める、新ヤルタ会談の開催を提案しようとしている」と報じた。

「勝利者」と宣言したいプーチン

なぜロシアが、ウクライナとの停戦交渉ではなくて「ヤルタ2.0」を望むのか。その理由はこうだ。

現在想定されている停戦では、ロシアは現時点での占領地、つまりウクライナ領土の約20%を自国領土として宣言できるだけだ。これは戦争の現状凍結に過ぎない。

さらにイギリス・フランス軍部隊のウクライナ駐留など、ゼレンスキー政権が望む安全保障策を取り入れた停戦案をトランプ氏が提案し、これをロシアが受け入れた場合、プーチン氏はヤルタ会談におけるスターリンのような「勝利者」と自らを宣言できないのは確実だ。

これはプーチン氏としては受け入れがたい展開だ。そもそも3年前に侵攻を開始したプーチン氏にすれば、戦争で版図を大幅に拡大したことから現在でもロシアで英雄視されているピョートル大帝やエカテリーナ2世のような、皇帝的指導者として歴史に名を残すことも侵攻の目的だったと言われている。

この悲願達成のためにも「ヤルタ2.0」を開催することで、ウクライナを非西側圏として封じ込めることがプーチン氏にとって必要なのだ。

もともとプーチン氏自身は、停戦交渉には消極的だったとされる。このまま戦闘を続ければ、ウクライナ支援に疲れた米欧がゼレンスキー政権を見放し、その結果、戦争に勝てると信じていると言われている。

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