MIXI、「競輪チャリロト」不正発覚で再燃する不安 再び露呈したガバナンス不全、過去の教訓生きず
その後、チャリ・ロトはジャフコなどの傘下を経てMIXIの完全子会社となったが、今回問題となっている上田氏による金銭の受領は、MIXIが買収する前の2018年2月から行われていた。調査チームの報告によると、一連の調査で証跡は発見されなかったものの、MIXIによる買収後も、今回の事案とは別にチャリ・ロトと取引先2社との間で不適切な資金のやり取りに関する疑義があるという。
MIXIは「買収時のデューデリジェンスにはしっかり取り組んだ」(島村恒平CFO)とする。しかし、昨年10月に外部から情報提供を受けるまで不正を見抜けなかった背景には、ガバナンスに対するMIXI経営陣の意識の低さもある。
例えば、チャリ・ロトにおける監査役による業務は会計監査に限定され、取締役の業務執行状況は対象外だった。これついてMIXIの島村CFOは、「連結(化した)時点から業務範囲を変えていなかった。前の段階で(監査の対象の変更について)判断すべきだった」と説明した。
子会社化後はMIXIの役職員を出向させていたものの、調査チームの報告は「チャリ・ロト社の事業や取引に関する理解が十分ではなかった面もあり、期待されたけん制機能としての役割を十分に果たせていなかった可能性がある」と指摘している。
過去には子会社の不正で社長交代も
MIXIにとって、子会社の不祥事は今回が初めてではない。
2015年に115億円を投じて買収した、チケット転売サイト「チケットキャンプ」を運営するフンザに対し、警察は2017年12月、商標法と不正競争防止法違反の疑いで強制捜査。翌年5月にチケットキャンプは閉鎖された。
その後、MIXIの森田仁基・前社長らが商標法違反の疑いで書類送検される事態にまで発展した。辞任に追い込まれた森田氏の後任として、ガバナンス改革を任されたのが木村現社長だった。
当時の第三者委員会の調査では、森田前社長がフンザの管掌役員でありながら、問題があるとされた商標の使用を認識していなかったことなどから、フンザとMIXIとの間での情報共有の不備を指摘されている。一連の事態を受けて、MIXIは執行役員制度を導入し、管理部門の役員を任命するなどガバナンス強化を図ってきた。が、結果的に教訓は生かされなかった。
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