生保・損保業界で相次ぐ金銭詐取などの不正事案 東京海上は名簿を横流し、大樹生命では金銭詐取
生命保険、損害保険業界で犯罪行為や法令違反がいまだに相次いでいる。
日本生命グループの大樹生命(旧・三井生命)は1月17日、埼玉支社三郷営業部に所属していた営業職員の女性が、顧客から解約返戻金や積立金など、少なくとも約751万円をだまし取っていたと発表した。契約者からの問い合わせで2024年11月に発覚し、すでに同職員は懲戒解雇しているという。
職員個人名義の銀行口座へ振り込み
金銭は職員個人名義の銀行口座に振り込ませる形でだまし取っていたほか、現金手渡しでだまし取っていた事例もあるという。また「三井生命親睦会」という会社名義の銀行口座に振り込ませたり、社名が入ったゴム印を押して受領証を発行したりという手口もあった。大樹生命としての管理体制が厳しく問われそうだ。
現在も調査を継続しており、被害者は十数人、被害総額は数千万円にのぼる可能性があるという。悪質なのは、「お得意さま向けの特別な運用枠がある」といった虚偽の説明をして、金銭をだまし取る行為もあったことだ。
運用の特別枠をかたる手口は、2020年に発覚した第一生命保険の元特別調査役による19億円超の金銭詐取事件を想起させる。
当時、社会問題となり、第一生命に限らず生保各社でコンプライアンス(法令順守)研修が強化されるなど、業界全体における強烈な戒めになったはずだった。
にもかかわらず、第一生命の事件をまねたかのような手口で、またもや金銭詐取事案が発生したことになり、生保業界に波紋が広がっている。
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