ロシアがなんだかんだでしぶとさ保つ最大の武器 それは陸軍でも海軍でも、はたまた核兵器でもない

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あの国の本当の思惑を見抜く地政学
ロシアの最大の武器とは陸軍でもなく、海軍でもなく、核兵器でもなく、天然ガスと石油かもしれません(写真:SDF_QWE/PIXTA)
まもなく3年目に入るロシア・ウクライナ戦争。長期化する戦況の中で、あらためて見えてきたロシアの最大の武器とは何か。それは陸軍でもなく、海軍でもなく、はたまた核兵器でもなく、天然ガスと石油かもしれません。
地政学動画で平均150万回再生を記録する社會部部長が、不変の地政学の法則を解説した『あの国の本当の思惑を見抜く地政学』より一部抜粋、再構成してお届けします。

ドイツがウクライナを落胆させた理由

2021年末からロシア軍がウクライナ国境に続々と集結しつつあったとき、アメリカ、イギリス、バルト三国、ポーランドなどがすでにウクライナにミサイルや弾薬といった兵器を提供し始めていました。この流れで、誰もが期待を寄せたのがドイツです。ヨーロッパ最大の経済大国でNATOの中核を成すこの国が、一体どんな強い兵器を供与するのか。ウクライナとNATO加盟国は期待しました。

しかし、ドイツが供与したものに一同はがっかりしました。なんとドイツが供与したのは、ヘルメット5000個のみだったからです。元々ドイツが平和主義的で攻撃兵器の供与には慎重だったことを差し引いても、「もう少し踏み込んだ防御兵器を提供したり、ヘルメットにしてももっとたくさん供与できたりしただろう」と非難が殺到しました。

ウクライナ外相はドイツの対応について「失望した」と語り、アメリカでも一部の議員が「ドイツは信頼できない同盟国」と苦言を呈するほどでした。この展開は、日本が湾岸戦争の際に資金援助だけをしたときの各国の落胆を彷彿とさせます。

では、一体なぜドイツはここまで兵器を出し渋ったのでしょうか。その答えは、ロシアへのエネルギー依存です。ドイツは過去数十年、エネルギー資源をロシアから大量に輸入しており、ウクライナ侵攻前まで輸入全体に占めるロシア産エネルギーの割合は、石油が34%、天然ガスは55%に上っていました。

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