将来が期待される若手社員 陥りやすい3つの不安 若手の離職を防ぐため上司にできることは何か?
社内に尊敬できる管理職がいない場合、理想像を他社に見いだすこともあるだろう。このように、社内にロールモデルがいないことは、若手社員の定着を妨げる要因になり得る。
3つの不安への対応策
入社5~7年目は、自分をギアチェンジして、会社へのコミットメントを一段高める時期である。だからこそ、不安を感じやすくなるとも言える。「今後も、この会社に身を投じ続けていいのか?」――まさに、就職したときと同じ決断をもう一度迫られているような状況だ。
このような若手社員を定着へと導くためには、見えない将来に不安を感じている状態から脱却させる必要がある。そこで重要になるのが、擬似的にでも「マネジャーとしての経験」を積んでもらうことだ。
筆者は、「Management不安」「Governance不安」「Role-model不安」の頭文字を取って「MGR経験」と呼んでいる(「MGR」はマネジャーの略称でもある)。
若手社員にMGR経験を積んでもらうにはどうしたらいいだろうか。上司に心がけていただきたいポイントを3つ紹介したい。
「動かされる側」から「動かす側」になるような役割と権限を与えるのがポイントだ。営業であれば、新人の育成や目標達成について責任の一部を持ってもらうことが考えられる。
開発に専念していた若手社員に、会議の運営を任せてみるのもいいだろう。経理でルーティン作業に追われているメンバーを、業務効率化プロジェクトのリーダーにするのも一つの手だ。
役割と権限を与える際は、チームメンバーを持たせることも検討したい。また、擬似的にメンバーを評価する機会を与えるのもおすすめだ。自ら「組織人格」で人を評価することで、あらためて会社の方針や求められる行動を理解できるだろう。
一般的に、管理職になると他部署との調整など、これまでとは異なる人間関係が生まれることから、自部署内で人間関係が閉じている人ほど、不安が大きくなる傾向にある。そのため、管理職になる前から社内ネットワークを広げておくことが重要だ。
社内の人間関係は、不安のセーフティネットになる。他部署の管理職や他部署で活躍しているメンバーと部下をつなげるのは、上司の役割の一つである。部門間連携が必要なプロジェクトに部下をアサインしたり、組織横断でリーダー研修を実施したりすることをおすすめしたい。
会社に入るときは、誰もが「ここで頑張ろう」と決断するが、これは個人人格での決断である。ギアチェンジ期の若手社員にとって大切なのは、「組織人格」で決断することだ。
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