小排気量で不利な部分があることに加えて、年を追うごとに厳しさを増す排出ガス規制により昨今のクリーンディーゼルエンジンはタイヤ1回転目の低速トルクが細くなる。エンジンアウトの時点からNOx(窒化酸化物)を抑えにかかるからだ。
その点RZ4E型ではVGターボと、いわゆる一気燃焼のコンビネーションで低速トルクを増強し対応した。ただし、そのままでは高温燃焼に伴ってNOxが多く排出されるのでSCR(Selective Catalytic Reduction:選択式還元)触媒で強力に除去を行っている。さらにSCR触媒本体もドージングモジュールを最適配置としつつ、除去能力を増強するなど日本ならではの低速走行シーンが増えるエルフミオ用として専用設計を施している。
具体的には、1速の駆動力はGVW3.5tに対してゆとりある16kN以上あり、市街地で多用する20km/hから80km/hあたりまでの高速域までフラットな駆動力を出し続ける。よって、上り坂にさしかかってもアクセル開度を少し深くするだけで失速することなく登り切る。
静粛性も高く、乗用車に近い乗り味
静粛性も高く、低振動。RZ4E型はピックアップ向けに開発されたこともあり甲高い燃焼音が目立たない。具体的には角のとれた音域/音量とも抑えられたマイルドな燃焼音がシート下から微かに耳に届く程度に収まる。また、スクランブルブースト時であってもタービン音(タービンは運転席のほぼ真下に配置)を意識することがない。さらに振動周期も小さく、ステアリングや各ペダルへの影響もわずかだ。
アクセル開度50%程度に抑えトルクカーブを味わう。1600~2000rpmの間で320N・mを発揮するが2000rpmを超えても大きなトルクの落ち込みはなく、一定の加速度を保ちやすかった。よって速度の維持もしやすい。ここは吊り下げながら取り付け角度にこだわったアクセルペダルの成果であり効果だ。
キャブオーバー型のペダル位置は構造上、踏みおろすスタイルになりがちだがエルフミオでは極力、かかとを床に着けて、くるぶしで開度をコントロールする乗用車ライクな方式にこだわった。これならキャブオーバー型の運転スタイルに慣れていないドライバーであってもスムースな発進と増速ができるため、積荷への加害性は大きく抑えられるだろう。
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