リノベーション・オブ・ザ・イヤーに見る「最前線」 グランプリのキーワードは「循環型リノベ」
●ローカルヘリテージ・リノベーション賞
【地域資産を、住み継ぐ】 株式会社しわく堂
【地域資産を、住み継ぐ】は、山口県にある明治期建築の古民家を再生した作品。
財をなした旧家が遺した歴史的建造物群は、経済的理由から手入れが行き届かず、雨漏りや蟻害などで建物の損傷が日々進行。「失われつつある大好きな故郷の街並みや建物を遺し繋ぎたい」と施主はUターンして購入とリノベを決意したそう。
工事では文化財保護と経済性に配慮しつつ、子育て中の7人家族がのびのび過ごせるダイナミックな空間を獲得。「大好きな地元で、この家が次の世代にバトンを繋ぐ『地域資産』になることを夢見て」という言葉に、大きな愛を感じとりました。
過去と現在を繋ぐ空間づくり
●アンティークドリブン・リノベーション賞
【遊郭建具と暮らす】 株式会社サンリフォーム
【遊郭建具と暮らす】は、「使いたい5枚の古建具がある」という施主の要望が鍵となった、過去と現在を繋ぐ空間づくりが際立つ作品。
古建具は京都の歴史ある遊郭「三友楼」で使われたもので、施主は譲り受けたのち、当時暮らしていた家の一角で保管していたものだそう。そんな想いの詰まった建具を活かすため、仕切りの高さを建具と揃え、壁にはざらっとした質感と自然なムラのある塗料を採用し、空間全体を見事に調和させています。
●地域文化再生賞
【続・小倉昭和館~在り続けるということ~】 株式会社タムタムデザイン
【続・小倉昭和館~在り続けるということ~】は、福岡県北九州市にある創業83年の単館映画館を丸ごと再建した作品。