リノベーション・オブ・ザ・イヤーに見る「最前線」 グランプリのキーワードは「循環型リノベ」
●1500万円以上部門 最優秀賞
【samtati(サンタティ)~他人間相続~】 リノクラフト株式会社
【samtati(サンタティ)~他人間相続~】は、その不動産売買における物語性が審査陣の心を捉えたという作品。
劣化が激しい家を「思い出ごと」解体した上で手放そうとしている売主と、物件との出会いに運命を感じ、「家の空気感、家の記憶そのものを受け継ぎたい」と考える買い主。すれ違う両者の思いを合わせるため、仲介者と面談を重ね、買い主の想いを手紙に託すなど誠実で丁寧な交渉を続けました。
さらにインスペクション(住宅診断)によって、劣化状況を明らかにして売主と買い主双方に受け入れてもらうことで、売買の合意を得ていったそうです。
変化させつつも住まいを繋いでいく。この作品が生み出された経緯はまるで相続のようであったと「他人間相続」と表現した点にも注目が集まっていました。
家族の「心潤い、心整う」暮らし
●パノラミックグリーン・リノベーション賞
【緑映える、心整う】 株式会社NENGO
【緑映える、心整う】は、100年超の期間に幾度となく増改築を重ねられ、「迷路のようになってしまった家を整え、次世代に引き継がなければ」との強い想いでスタートしたリノベ作品。
図面がなく、既存を図面に起こすことから始め、解体後は、本来あるべき柱がない、井戸から水が溢れているなどの足踏み状態が続きながらも、慎重に全面改修の工事を進めていったそう。
豊かな木々、背後には森がありながらも、それら庭に開かれていなかった間取りを変え、大きな開口部を設けて庭の鮮やかな緑を暮らしに取り込み、家族の「心潤い、心整う」暮らしをつくり上げています。